名古屋場所を内臓疾患で全休した九重親方(60、元横綱千代の富士)が、早期の膵臓(すいぞう)がんで手術を受けていたことを明らかにした。約1カ月入院し、7月下旬に退院。体重は13キロほど減ったが体調は良好で「大丈夫だよ。健康体だ」と張りのある声で話した。秋場所は通常通り、館内で無気力相撲の有無をチェックする監察委員の仕事をこなす。

 復帰した師匠へ、4人の関取衆で唯一白星を届けたのが千代大龍だ。十両で千代皇、千代丸が負け、幕内でも千代鳳が敗れたが、最後のとりでとして誉富士と対戦。押されながらも、何とかはたき込んだ。「親方はもう元気で、毎日稽古場に下りてます。でも、こんな相撲じゃ怒られます」と苦笑い。10日には師匠主催の食事会で高級中華を堪能。恩返しに燃える男は「自分の相撲を取らないと」と勝利にも気を引き締めた。