6度目の正直だった。関脇栃煌山(28=春日野)が、全勝だった大関照ノ富士(23=伊勢ケ浜)を初めて倒した。館内には、座布団も飛んだほど。「本当に良かったです。いい自信になりました」と喜んだ。

 前日は横綱鶴竜(30=井筒)の注文相撲で、悔しい黒星を喫した。それでも、験直しには出ず、部屋にこもった。取った行動は、過去の照ノ富士戦の振り返り。敗れた過去5番のVTRを見返して、勝機を探った。出した結論は、こうだった。

 「照ノ富士とやると、いつも立ち合いが不完全か、五分五分。仕切り線の土俵の真ん中で止まってしまい、体が起き上がって、そこから差しに行っていた。でも、そこで振りに来られて、どんどん腰が高くなっていく。向こうの高さになったら(相手は)デカイので、きつい。それがないように、当たったところから低いままの体勢でいようと考えた」

 そして、迎えた大一番。まさに考えた通りの相撲だった。低い体勢で当たり、もろ差しになる。照ノ富士の強引な左小手投げを残すと、左を相手の脇(はず)に当てた。そこから起こす。腰をしっかり割って、低い体勢を崩さない。力強い寄りだった。「いつもより低い位置でつけられた。そこが良かった。考えた相撲で勝てたのが、一番良かった」と振り返った。

 負ければ、照ノ富士の優勝が13日目にも決まる可能性があった。それを阻止し、反対に優勝争いを面白くした。そして自身も、2桁白星に望みをつないだ。年下の照ノ富士に番付で上に行かれて「悔しい気持ちはあるが、強いのは間違いない。そういう相手に勝っていけた。これからどんどん、もっと勝っていきたい」。景気の良い言葉が並んだ。