大相撲の大関琴奨菊(31=佐渡ケ嶽)が「真央イズム」を胸に、九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)で初優勝を狙う。30日、二所ノ関一門の連合稽古が福岡・新宮町の二所ノ関部屋宿舎で最終日を迎えた。2日連続で稀勢の里、豪栄道の両大関と対戦し、2勝11敗と大きく負け越した。右頬に疲労性のヘルペスも発症するが、「感覚は悪くない」とどこまでも前向きだ。その理由は意外なところにあった。

 「浅田真央ちゃんが復帰したドキュメンタリーを見た。それまでは声援を力に変えてきたけど、復帰後はトリプルアクセルを失敗しなくなった。結局は原点に返って、フィギュアが好きだと。自分も同じだな」。

 浅田は今月3日の大会で553日ぶりに復帰し、トリプルアクセルを成功させて優勝。その姿に心打たれた琴奨菊はケガや重圧と闘う自らの心情を重ねながら、相撲の楽しさを再確認した。「自分の納得する相撲を取りたい。モチベーションは高くやれている」とすこぶる明るい。【桑原亮】