大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が命拾いした。碧山(29)と20秒余りの激しい突き合いの末、土俵の外に吹っ飛ばされたかに見えた。だが、物言い。実は開始から6秒5の時点で、大関の押しに相手の左足が蛇の目の砂を払っていた。藤島審判長(元大関武双山)は「確定ではないので、取りあえず最後まで取らせた」と話した。

 12年九州場所で審判委員が勝負あったと取組をやめさせたが、実際は出ておらずに「やり直し」となった誤審騒動があった。そのとき、自信がないときは取組後に物言いの手を挙げるように指示が出された。まさにそれだった。行司軍配差し違えで何とか1敗を守った稀勢の里は「攻めていたからこそです」。苦手力士を退けて折り返しに向かう。