9勝目を狙った東前頭11枚目の臥牙丸(28=木瀬)が、怒りを噴火させ、のちにシュンとした。

 過去1勝6敗と分が悪い勢(29=伊勢ノ海)を押し込んだかに見えた。だが、土壇場で突き落としを食らい、バッタリと落ちた。軍配は勢。右、左と審判の顔を見るも、誰からも物言いの手は上がらない。不満げな顔を隠さずに花道を引き揚げ、NHK中継のスロー再生を横目で確認。見終わった瞬間に「出てるじゃん(勢の)足! 物言いくらい、つけてよ!」とさけんだ。だが、再生映像をよく見ると、勢の足は残っていた。

 そのまま怒り心頭かと思われたが、風呂場で血が上っていた頭も冷えたのか、誰かから言われたのか、冷静になっていた。周囲に「どうでした?」と確認し、あらためて臥牙丸が先に落ちていたことを知らされると「そう…。もう1歩のところで負けちゃった。今日はデカかったなぁ。2桁(白星)いけたかもしれないのに…」と、泣きそうな表情に変わっていた。