日本相撲協会は25日、福岡国際センターで来年初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、安彦(あびこ)改め剣翔(つるぎしょう、24=追手風)と千代翔馬(24=九重)の新十両昇進が決まった。安彦は東幕下筆頭だった九州場所で5勝を挙げ文句なしの昇進。下の名前も「桃太郎」に改名し、日大の先輩でもある兄弟子、幕内遠藤(25)をライバル視した。

 角界の桃太郎が、兄弟子に宣戦布告した。「大学時代から遠藤関に追いつけ、追い越せだった。人気、実力ともに遠藤関を超えたい」。同席した師匠の追手風親方(元前頭大翔山)からは間髪入れず「難しいことを考えてるな」と鼻で笑われたが続けた。関取になってやりたいことを問われ「遠藤関にご飯をおごりたいですね。1回、大きな顔して食べたい」と語った。

 しこ名は本名の「剣太郎」と師匠のしこ名をもらい、自分で考えて秋場所前から温めていたもの。締め込みは桃色で「物言いがつかないギリギリの明るさにしました」と、ド派手になりそうだ。ピンクは遠藤のトレードマークだが「(意識は)なくはないです」と、対抗心をむき出しにした。

 夢は膨らむばかりだ。遠藤が永谷園とCM契約していることをうらやむが、「桃」といえば桃屋、ももクロ、桃の名産地-。「いいですね~。(ももクロの)エビ反りは、体が柔らかいんでできると思います」とアピール? した。幕下上位に定着も関取昇進を4度逃した。ついにその座を射止め「目立つ相撲を取りたい。まず名前から」。“鬼”退治への長い道のりが始まる。【桑原亮】

 ◆締め込み 本場所で関取が締める絹製のまわしのこと。日本相撲協会の寄付行為の相撲規則には「紺、紫系統の繻子の締込を使用し…」とあるが、実際は明るめの色も黙認されている。現役力士では十両旭大星がオレンジ色、輝が金色、貴ノ岩が銀色。過去には朝青龍らが金色、曙らがオレンジ色、琴錦、水戸泉らが黄緑色を使用したことがある。現役では白鵬や松鳳山が金色、日馬富士が銀色を締めていた例がある。