優勝を決めた白鵬のあっけない一番にも、協会上層部は一定の理解を示した。

 注文相撲と取られかねない、立ち合いの一瞬の勝負だったが、八角理事長(52=元横綱北勝海)は「変化というより、いなしだよね。落ち着いている。“優勝だ”と前のめりになっていない。相手がどう来るか様子を見ていたのでは」と推測。今場所を振り返っても「元気な大関を1発で持って行った稀勢の里、豪栄道との相撲が印象深い。負ける要素がない。(V逸中は)らしからぬ相撲で自分にふがいなかったのでは。いつもの(強い)白鵬に戻ったということ」と称賛した。

 審判長として土俵下で勝負を見守った、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「物足りない相撲だったということは間違いない」としながらも白鵬の心理として「日馬富士の突っ込みを警戒したんだろう。立ち合い、日馬富士がちょっと早すぎた。紙一重でしょう」と微妙な勝負のあやを読み解いていた。