大相撲夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)の横綱審議委員会による稽古総見が29日、両国国技館で無料で一般公開され、新十両の宇良(23=木瀬)が冷や汗をかいた。全関取が参加する独特な雰囲気の中、いきなり背後から「はよ行け」。関取最年長の幕内安美錦(37)から稽古を促され、背筋が凍り付いた。

 「あいさつをどのタイミングで行ったらいいかオドオドしていた。ものすごく怖くてオーラも違うし、怒られた感じ。ずっと緊張していました」

 慌てて土俵に上がると、約7000人のファンからは大歓声。関取衆も手を止め異色の173センチに熱視線を注いだ。初めて稽古した同じ小兵力士の十両石浦からは「チビ2人、わんぱく相撲みたい。でも強い。前に出る力がある」と高評価。計13番で9勝4敗と沸かせた。

 稽古後は恐れる安美錦から「体が小さいから、稽古場でも技を見せてもいいのでは」と助言され「うれしかった」とようやく笑顔。午後はその足で京都へ移動し、母校の鳥羽高から化粧まわしと明け荷を贈られた。「十両は相手の実力もアップするので、体力、気力との戦いになってくると思います」。また1つ、関取らしくなった。【桑原亮】