結びの一番で横綱白鵬(31=宮城野)が3敗目を喫した。

 白鵬の野望が打ち砕かれた。照ノ富士の変化で左四つに組んだ、1度目の立ち合い。「右足を引いた時に、ピリッときた」。9日目の勢戦で痛めた右足親指に力が入らない。幸いにも「合っていない」と判断した立行司の式守伊之助が「待った」。力を抜くと会場はどよめいたが、やり直しの一番でも結果は同じだった。右足をうまく使えず、上手を引かれて出し投げで崩されると、なすすべなく土俵を割った。痛恨の3敗目。今場所での達成を目指していた通算1000勝の可能性も消滅し、秋場所以降に持ち越しとなった。

 この日の朝稽古後、親指の腫れは前日より引いていた。「いろいろ想像して勝ち越さないといけない。(横綱は)12番だから」と、上手を取られた想定の稽古も行ったが、大混戦の名古屋では何が起こるか分からない。白鵬には、想定外の負傷が思わぬ影響を及ぼした。