第58代横綱千代の富士の九重親方(享年61)の死去を受けて、部屋付きの佐ノ山親方(元大関千代大海)が31日、報道陣の取材に応じた。

 東京・墨田区の部屋で無言の帰宅となった師匠を出迎え「九重師匠は午後5時11分、膵臓(すいぞう)がんのため、都内の病院でお亡くなりになられました。生前には皆さまに大変お世話になりました。ありがとうございました」とあいさつ。

 面会に行ったことなども明かし「その時にはもう意識がない、声を掛けても反応しない状態だった。名古屋場所中の会話が最後。師匠は稽古場で指導していましたので、その指導の内容を、師匠と言葉を交わしたのが最後でした」と無念の表情で話した。

 16歳で入門。その際「『お前、すごい頭して来たな』と言われた」という。そこから大関まで上り詰め「僕にとっては、血のつながりはないですけど、本当の自分の父親としてずっと思っていました。師匠なくして僕はいないんだなと、しみじみ感じている」。遺体の手を握って、感謝を述べた。

 部屋の今後については「師匠には生前『次はお前が引っ張っていってくれよ』と言われていましたので、(力士たちが)不安にならないように、できる限り頑張らせていただきます」と話した。