大相撲で史上3人目の通算1000勝まで残り3勝と迫る横綱白鵬(31=宮城野)が8日、秋場所(11日初日、東京・両国国技館)を全休することを表明した。「左膝タナ障害」「右母趾(ぼし)伸筋腱(けん)損傷」「右足関節炎」で4週間の加療を要する旨の診断書を日本相撲協会に提出した。休場は昨年秋場所以来4度目。全休は大関だった06年九州場所以来、10年ぶり2度目となる。今日9日に正式発表される。

 部屋のある東京・墨田区内で取材に応じた白鵬は「昨日の(精密検査の)結果で新たなものが見つかった」と明かした。名古屋場所中に右足親指を負傷。強行出場した夏巡業で患部をかばったことで、古傷の左膝に加えて右足首まで影響が出ていた。「(今日が)月曜日だったら、腫れは引いてますから、出ていたかもしれない」。取組編成会議の前日に決断した理由については「他の力士に迷惑を掛けたくなかった」と、無念そうに話した。

 負傷の影響で番付発表から5日後の今月4日にようやく始動。5日に「ダブル、トリプルで来た」と形容した災難は想像以上だった。「2日間は熱が出て、けいれんも出た。こんなの初めて」。朝晩2度の運動で必死に調整してきたが、結論は3日目から休んだ昨年秋場所以来の休場。土俵での稽古も再開できず「自分に甘かったのかな。やっていたつもりでも、20代と違ってきたのかなという感じもある」と、体の衰えについても言及した。今日9日に今後の治療方針を決める予定だが、状態次第で入院の可能性もあるという。

 決断を終えて肩の荷が下りたのか、3場所連続で綱とりの大関稀勢の里に対しては「チャンスをものにしてもらいたい。今度は戦うのではなく、応援に変えていきたい」と笑顔でエールを送った。秋巡業での復帰を見据え、治療に専念する。「帰ってきたら、また強くなるんだという気持ちでいろいろ考えていた。心と体を整理しながら、ゆっくり休みたい」。さらなる高みを目指すためにも、綱の責任を全うしてきた体を休める。【桑原亮】