西幕下9枚目の照強(21=伊勢ケ浜)が同40枚目で元幕内の鏡桜(28=鏡山)を寄り切って、7戦全勝で幕下優勝を決めるとともに、来年初場所(1月8日初日、東京・両国国技館)の新十両昇進を確実にした。

 阪神・淡路大震災が起こった95年1月17日に、被害が大きかった兵庫県南あわじ市で生まれた「運命」の男が、運命の日を関取として迎える。「うれしいです。毎日毎日、キツイ稽古をしてきた。ご飯を食べることもつらかった。吐きながら、毎日食べていた。頑張ってきた積み重ねが、やっと報われた」と喜んだ。

 前夜は緊張から1時間しか寝つけなかったという。だが、部屋の横綱日馬富士らから「自分の相撲を取れ」とアドバイスを受け、さらに師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から「気合を入れていけ!」と言われたことで、小細工なしの真っ向勝負への気持ちが固まった。

 鏡桜が右膝を痛そうにしていたことも見抜いて、その膝に重心を乗せさせようと、右から攻める。右の上手をつかんで出し投げで振り回し、崩れた瞬間に前進して寄り切った。

 3月の大阪場所では、勝てば新十両が見えた千秋楽に、緊張から体が動かずに敗れた。大一番の前に「1年に1回、チャンスが来れば良い方なのに、2度もチャンスがある。経験を生かしたい」と話していたが、1日100番近い番数で培った稽古量を糧に、言葉通りにモノにした。

 十両以上の土俵では、幕内石浦や十両宇良ら、小兵力士の奮闘が目立つ。照強も168センチ、112キロ。決して体格に恵まれてはいないが「(小兵力士の)一員に加わってじゃないが、自分は自分として頑張っていきたい。来場所も勝ち越せるように稽古をいっぱいして(大阪で開かれる3月春場所の)地元で番付を1枚でも上に行きたい」と誓った。