千秋楽の取組が14日目の幕内の取組中に決まり、最近ではあまりない、大関の割崩しがあった。

 本来なら番付通りに、横綱、大関は全て対戦する。ところが、千秋楽に稀勢の里(30=田子ノ浦)との大関戦を残していた琴奨菊(32=佐渡ケ嶽)の相手は、平幕の松鳳山(32=二所ノ関)となった。その琴奨菊との対戦が今場所はなくなった稀勢の里は「これより三役」で平幕の宝富士(29=伊勢ケ浜)と対戦する。

 稀勢の里-琴奨菊の一番は、過去に61回の対戦がある看板カードの1つ。対戦成績も琴奨菊の32勝29敗と拮抗(きっこう)している。ただ、今場所は既に琴奨菊が、千秋楽の取組編成会議の前の時点でも4勝9敗(14日目も敗れ4勝10敗)と負け越しが決まっていることもあり、二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「それよりは面白い取組の方がいいという(審判部)みんなの意見で決まった。以前にもあったと思いますよ」と説明した。

 実は9月の秋場所も、大関照ノ富士が13日目を終えて4勝9敗と、今回の琴奨菊と状況は同じだったが、千秋楽には慣例通り、大関稀勢の里との一番が組まれた。星勘定は同じながら、今回は番付優先という慣例を踏襲せず、割を崩した。今後もこの方針は同部長が「千秋楽だからというわけでなく、14日目の場合にでも」と話すように、適用する意向だ。