今年、番付上位からの勝率が最も高かったのは大関稀勢の里(30=田子ノ浦)だった。横綱、東大関との対戦は18番で10勝し、勝率は5割5分6厘。他の大関陣の番付上位との勝率は、琴奨菊は3割3分3厘、豪栄道は2割9分2厘、照ノ富士は2割8分6厘…。稀勢の里は堂々の「大物食いで賞」と言えるだろう。

 白鵬と鶴竜には3勝2敗、日馬富士には2勝4敗。「横綱に勝っても、他で全部負けたら意味ないでしょ。基本的に一番は一番」と、横綱戦を特別視することはないという。九州場所では3横綱を倒すなど孤軍奮闘を続けている。

 「大物食い」の強さが際立つ半面、番付下位に食われることも目立つ。九州場所では平幕に3敗して優勝次点に終わった。日本出身力士として3代目若乃花以来の18年ぶりに年間最多勝に輝いたが、その年に1度も優勝がない力士の最多勝は、年6場所制が定着した58年以降初めてだった。

 12年初場所から30場所連続で大関に居続けた。「それはいいデータじゃないな。5年間強くなっていない。番付が上がってないからね」。大関として優勝次点11回、綱とりに挑むこと6場所。綱とりを狙える位置を維持していることを評価する意見もある、と向けると「それはサラリーマン的考え」と一蹴された。6場所で7割6分7厘だった勝率を「もっとあげないといけない」と満足していなかった。【佐々木隆史】

 ◆番付上位メモ 番付は東西に分かれており、同じ番付でも東の方が西より上位となる。稀勢の里は、春場所と九州場所で西大関だったため、横綱に加えて、それぞれ東大関だった琴奨菊と豪栄道が上位。白鵬も春場所と秋場所は西横綱で、両方で日馬富士が上位。九州場所では3番手の東横綱だったため、日馬富士と鶴竜が上位となった。