北の湖の横綱出場数を抜いて、歴代単独1位となる819回に伸ばした横綱白鵬(31=宮城野)が、勢いに乗る新関脇玉鷲を退けて全勝を守った。相手得意の突き合いになっても、慌てず反応し、突き落とした。稀勢の里も栃煌山を下し、全勝は2人のまま。

 白鵬の動きはさえ渡っていた。左上手を取ろうと動くも、かわされて取れず。好機と見て突き押しを仕掛けてくる玉鷲に、白鵬も応戦。突っ張り合いになったが、冷静にいなして体勢を崩した。立て直した玉鷲の右足がわずかに土俵の外に出て、軍配は白鵬。最後は自ら動きを止めて「足が出たのが見えたので」と冷静だった。

 14日朝はハプニングに見舞われた。稽古場に行くとすでに稽古が終わっており、ジャージー姿の白鵬は「今日は稽古休めってことかなぁ」と思わず笑った。実は、白鵬の運転手が寝坊。白鵬の電話で目を覚まし、慌てて迎えに行く事態に。普段なら稽古場に到着するはずの時間になっても現れず。稽古場にいた若い衆も運転手とうまく連絡がとれず、休みと勘違いし、稽古を終了してしまったのだ。その約5分後の到着だった。まさかのドタバタ劇にも「あ~、気持ちいい~」と笑顔で太陽の光を浴びる姿に、若い衆や運転手も胸をなで下ろした。

 結局朝稽古は出来なかったが、支度部屋ではいつもより長めに、激しく若い衆とぶつかった。「(玉鷲は)先場所から乗ってますからね。それを上回っていく気持ちでしたね」と余裕があった。

 北の湖の横綱出場数を抜いて歴代単独1位。「記録を見つけて再出発します」。4場所ぶり38回目の優勝と、歴代最多の通算1047勝へ視界は良好だ。【佐々木隆史】