初優勝を果たして、横綱昇進を確実にした大関稀勢の里の両親が、国技館で観戦した。父萩原貞彦さん(71)は「言葉ではなかなか言い表すことができない」と、万感が胸にこみ上げた。

 初めて賜杯を抱いた息子に「横綱になったら大変じゃないのかな。今まで以上に稽古して、人間を磨いてね。そう思うと日本相撲協会、日本国のために頑張らなきゃね。好きな相撲だけを取ってるどころじゃない。重責が肩に掛かるから」と、横綱昇進後のさらなる奮闘を求めた。

 入門して15年目の大願成就。これまでの長い時間については「(稀勢の里は)幸せの一語に尽きるでしょう。好きな相撲で、体を鍛えるのも大好きだしね。弱音は吐いたことはない。楽しいと言っていた」と話した。独身の息子には「まだ結婚はしないと言ってる。私がいるうちは、しないと。私が死んだらすると言ってる。うるさいから」と笑った。

 母裕美子さん(61)は「涙が先で。言葉にならなかった。うれしい。(先代鳴戸)親方が亡くなったのは、大きかった。思い出しては、昨日からずっと泣いてました」と、感極まっていた。