25日に東京都内のホテルで行われた横綱昇進伝達式で稀勢の里関は「横綱の名に恥じぬよう精進致します」と述べた。シンプルな口上に、大相撲愛好家やファンからは好印象との声が相次いだ。

 1990年代に貴乃花や3代目若乃花が四字熟語を使って注目された。スポーツ評論家の玉木正之さんは「若貴が始めたやり方が特別だった。(稀勢の里は)格好つけることなく素直にしゃべった。これがオーソドックスなやり方」と評した。

 2011年11月の大関昇進伝達式でも「大関の名を汚さぬよう、精進します」と簡潔に述べていた。著作に相撲エッセーもある作家の乃南アサさんは「四字熟語が入っていたら嫌だなと思っていた。普段使い慣れていない言葉より、正直で素直というのが一番いい」と好印象を口にした。

 緊張した面持ちで冒頭に少し詰まったが、漫画家のやくみつるさんは「早口なのはいつものことで、そこはご愛嬌(あいきょう)。奇をてらうことなく、至極シンプルというのが稀勢の里関らしい。自覚は十分に伝わってきた」と好意的に受け止めた。

 東京・両国国技館内の相撲博物館を訪れた神戸市の主婦、子守あずささん(31)は「(過去の)四字熟語も格好よかったけれど、難しい言葉よりも若い人にも伝わりやすいストレートな表現でよかった」と感想を語った。