日本相撲協会は25日に開いた大相撲春場所の番付編成会議で、石橋改め朝乃山(22=高砂)の新十両昇進を決めた。また北はり磨(30=山響)富士東(29=玉ノ井)の再十両も決まった。

 都内の高砂部屋で記者会見に臨んだ朝乃山は、亡き恩師の遺言を携えて前日24日、故郷の富山から帰京した。幕下優勝と関取の座を確定させた初場所13日目の翌21日、母校の富山商高相撲部監督の浦山英樹さんが40歳の若さで、がんのため死去。病床で目を開けるのがやっとの状態の中、浦山さんは教え子が優勝を決めた一番を、目を見開いてテレビ観戦したという。

 23日の葬儀。「横綱になるのは大変だけど頑張れ」と書かれた遺言を遺族から渡され「泣きました」と朝乃山。改名した「朝乃山英樹」の下3文字は、恩師の名前などから取った。

 「優勝した姿を見せられて良かった。初心に戻って稽古に励みます」。大学時代の実績で三段目最下位格付け出しデビューから丸1年、所要6場所での新十両昇進に「第2の故郷の大阪に関取で帰る目標を達成できた」と笑った。部屋創設140年目で途絶えた関取輩出の歴史を、近大の後輩が1場所で復活させ、師匠の高砂親方(元大関朝潮)も「石橋が新たな歴史の1ページを作ってくれた」と喜んだ。【渡辺佳彦】