横綱初優勝を果たした! 新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が41回目の大会を制した。2回戦から宝富士、勢、臥牙丸、玉鷲を下して、決勝では貴ノ岩を突き落とし。初場所初優勝の勢いそのままに、初めて優勝杯を手にした。また、先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)が愛用した最高級絹織物「結城紬(つむぎ)」の着物も、昇進祝いで贈られることになった。

 横綱として、最後まで土俵に立ち続けた。決勝は劣勢も、貴ノ岩を首投げで崩して突き落とし。「(優勝した昨)秋のトーナメントでいい感じをつかんで九州、初場所と良かった。こういうトーナメントは非常に大事。優勝できて自信になる」と初優勝を喜んだ。貴乃花巡業部長(元横綱)から「良かったな」と優勝杯を手渡されて頭を下げた。

 横綱として、初めて国技館で土俵入りを披露した。「違いますね、やっぱり」と格別だった。超満員の観衆の声が土俵に集まる。「独特のすり鉢状と言いますか、声が中央に集中する」。その緊張感の中で1分20秒の土俵入り。初めて披露した1月の明治神宮よりもスムーズで、力強かった。

 横綱として、肩を並べた先代師匠の「形見」が贈られることになった。先代が現役時代に特別につくった約800万円の「結城紬」の反物の残りが、関係者の手に保管されていた。藍色の最高級絹織物は15メートルほど残っており、昇進祝いで春場所前に着物に仕立てられるという。この日、実物の反物を見た新横綱は「記念になりますね」と喜んだ。

 横綱として、稽古も含めて相撲を取るのは初めてだった。その中で役目を果たした。「非常にいい状態。疲れもほとんどない」。春場所へのスタートは、幸先良かった。【今村健人】