大相撲の新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が鹿島アントラーズを超えた。9日、地元の茨城県庁を訪れて20例目となる県民栄誉賞を贈られた。2階の県民ホールには約1200人が詰めかけ、Jリーグ鹿島が11冠を獲得して2度目の表彰を受けた08年の約1000人を上回った。続いて牛久市役所を訪問した際には約500人の市民が出迎え。地元からの熱いエールに、新横綱も感謝しきりだった。

 外は雪交じりで、水戸市はあいにくの天気だった。それでも大勢の県民が、36年の男女ノ川(みなのがわ)以来81年ぶりとなる地元の新横綱を一目見ようと茨城県庁2階の県民ホールを埋め尽くした。その数は約1200人。3階の渡り廊下にもあふれた。08年のJリーグ鹿島の約1000人を上回る多くの人たちが、稀勢の里の県民栄誉賞受賞を祝福した。

 「茨城の方々の応援は、ものすごく熱いモノがあって、本当に後押しになりました。今後は横綱として名を汚さないよう、精進してまいります」と約束した。

 地元民の熱気は予想以上だった。続いて出身地である茨城・牛久市役所なども訪れたが、そこでも約500人がお出迎え。中学時代に対戦し、交流があるプロ野球楽天の美馬投手からお祝いの花も届いていた。

 この大混乱に巻き込まれてしまったか、根本洋治市長はあいさつで「“大関”になって牛久に帰ってきました」と間違えてしまい、市民から「横綱だよ!」と突っ込まれた。そんな掛け合いを新横綱もおちゃめに笑った。「地元はやっぱり良いですね。空気もいいし体も落ち着くのか、非常にリラックスしてやれています」とうれしそうだった。

 18日も牛久市でパレードに臨む。ただ、本分を忘れないのも稀勢の里。「ここで浮かれるのは良くない。しっかり気を引き締めて、いい結果が出るようにしっかり稽古していきたい。(地元に)もっともっといい姿を見せられるように、もっともっと強くなっていい報告ができるように頑張っていきたい」。地元への一番の恩返しが何か、分かっていた。【今村健人】