新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が17年ぶりの「4横綱時代」で、先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)に並ぶ4人目の新横綱優勝に挑む。日本相撲協会は27日、春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表。稀勢の里は「常に優勝争いに絡むことが絶対条件」と自らに課し、自身も熱狂した17年前の4横綱時代の興奮を再現すると誓った。

 番付表を手に取る会見は大関昇進以来。しこ名は最も大きな字になった。だが、稀勢の里の感慨は少なかった。「責任感はもっと強くなる。うれしい半面、身が引き締まる。これからという気持ちが強いし、何か心から喜べない部分もある」。真の始まり。その思いが新横綱の胸にはあった。

 期せずして4横綱時代に突入する。群雄割拠の始まりに、思わず昔を懐かしんだ。曙、貴乃花、若乃花、武蔵丸の17年前は中学生。「ちょうど、よくテレビを見ていたとき。横綱が4人出てくると面白かった。(誰が優勝するかという)後半戦が面白かった。見ていて、すごい興奮した」。

 相撲にのめり込んだあの熱狂を、今度は自らが届ける立場となった。過去15度ある4横綱時代で、新横綱が優勝したのは4度ある。2場所連続優勝を果たせば、相撲熱はさらに高まる。「あのときの雰囲気になれるように、しっかりやっていきたい」と奮起した。

 4横綱時代ではないが、亡き先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)は新横綱で全勝優勝した。旧鳴戸部屋にはその優勝額が飾られていた。「稽古場でいつも見ていたし、映像でもたくさん見ている」。その先代に肩を並べられるか。前売り券が即日完売した春場所。注目を一身に集める新横綱は「まぁ、平常心で」と笑ったが「常に優勝争いに絡むことが絶対条件だと思っている」と横綱の覚悟も付け加えた。【今村健人】

 ◆17年前の4横綱時代 99年夏場所後、武蔵丸が第67代横綱に昇進したことで、曙、貴乃花、3代目若乃花、武蔵丸の4横綱時代が8年ぶりに始まった。最初の99年名古屋は曙が優勝決定戦に進むも、関脇出島に敗戦。続く秋、九州は武蔵丸が連続優勝を飾ったが、00年初は関脇武双山が初優勝した。続く春は5日目で関脇栃東に敗れて3敗目を喫した若乃花が、取組後に引退を表明。4横綱時代は5場所で終わった。その場所の優勝は幕尻の貴闘力。