大相撲春場所(12日初日、エディオンアリーナ大阪)に、自己最高位の西前頭2枚目で臨む貴ノ岩(27=貴乃花)が5日、大阪市住吉区の住吉大社に宿舎を構える立浪部屋で行われた、貴乃花一門による連合稽古で、無尽蔵のスタミナぶりを発揮した。

 番付下位とはいえ、幕内の貴景勝(20=貴乃花)、十両の阿武咲(20=阿武松)、力真(21=立浪)や幕下力士と6番取って全勝。その後は阿武咲と連続24番。合計30番連続で25勝と圧倒的な強さで「一門頭」の実力を見せつけた。

 特に三番稽古となった阿武咲との稽古では、相手が鼻血を出し悲鳴に似た荒い息を吐きながらも、厳しい攻めを見せた。一門の総帥で師匠の貴乃花親方(元横綱)は所用で姿を見せなかったが、代わって阿武松親方(元関脇益荒雄)が「取り口といい、師匠に似てきた。芯の強い、体幹の強い相撲。不思議なものだ。強くなって自信をつけた」と称賛した。

 初場所では、14日目に横綱白鵬(31=宮城野)から初金星を挙げて、稀勢の里(30=田子ノ浦)の優勝と横綱昇進をアシストする格好となった。一躍、注目を浴びたが「相撲は団体競技ではなく自分のためにやっていて、たまたま勝っただけ」と謙遜。それでも「多少は自信になった」と成長の1歩となったことは認める。

 東前頭3枚目だった昨年秋場所以来となる、上位陣と総当たりする平幕上位で臨む春場所。「もちろん勝ちたい。同じ年代の力士も健闘しているから自分も。もう若くはないし、今年は関脇を目標に頑張ります」と気合を込めた。