稀勢の里の昇進で、大相撲は00年春以来17年ぶりの4横綱時代に突入する。ただ、所属部屋が全員異なり、総当たりとなるのは80年九州場所以来約37年ぶり。群雄割拠の、横綱同士の生き残りを懸けた闘いが始まる。過去、4横綱時代は15度で計73場所あった。そのうち横綱の優勝は48場所で「6割6分」。一方で優勝制度が確立された1909年(明42)夏以来、今年の初場所まで478度を数える優勝力士は、横綱が「6割2分」の297度を占める。人が増える分、当然かもしれないが、これからは横綱が優勝する場面は多くなるだろう。

 そんな激しい優勝争いの一方で、4横綱時代は長く続かない。1年持ったのは4度だけ。1場所15日制となった49年夏以降、全員が2桁白星を挙げたのは60場所中たったの4場所しかない。全員の15日間皆勤出場すら9場所しかなかった。最高位が増えた分、衰えた者に容赦はなくなる。過去の4横綱時代の終焉(しゅうえん)の引き金は、最初の横綱の引退が6度、3人目の引退が5度、2人目の引退が3度だった。最後の横綱は勢いに乗る分、1度(三重ノ海)しかない。

 16度目の4横綱時代の幕が開く。新横綱の優勝は4度あり、新横綱以外の3横綱の優勝は計7度。今場所の行方は果たして-。【今村健人】(おわり)