新横綱の稀勢の里(30=田子ノ浦)がピンチで踏みとどまり、弟弟子の関脇高安(27=田子ノ浦)と2人で、全勝で中日を折り返した。

 東前頭3枚目で普段は露払いの松鳳山(33=二所ノ関)を押し込むも、腰が高くもろ差しを許してしまう。肩越しの左上手も切れたが、ここで踏ん張れるのが今の新横綱。体を開きながら左の小手で振り、すかさず右から松鳳山の左ほおを突くように、小手をひねった。自身初の小手ひねり。「そんな決まり手、あるの?」と驚いていた。

 1場所15日制が定着した49年夏場所以降の32人の新横綱では、玉の海、隆の里、旭富士、白鵬に続き5人目の全勝ターン。その中では初めての雲竜型の横綱になった。それでも、表情を崩すことはなく「これはこれでまた。明日は明日でまた。また明日、しっかりやります」。高安との全勝並走にも、淡々と答えて後半戦に向かった。