田子ノ浦部屋の2人がそろって無傷で勝ち越した。06年夏場所13日目の千代大海-魁皇戦以来11年ぶりの日本人対決となった結びの一番で、兄弟子の新横綱稀勢の里(30)は東前頭3枚目の松鳳山を自身初の小手ひねりで退けた。弟弟子の関脇高安(27)も西前頭筆頭の勢を下手投げ。1場所15日制となった49年夏以降、同部屋の2人だけで中日を全勝で折り返すのは、74年夏の北の湖、増位山以来43年ぶりとなった。

 場内から一瞬、悲鳴が上がった。稀勢の里の相撲で、今場所一番のざわめき。だが、12秒4の取組で、最後まで土俵に立ったのは新横綱だった。「いろんなことがありますから。我慢してやりました」。受け取った45本の懸賞の束は、春場所の千秋楽以外では過去最多。取組後の体は、いつも以上に熱を帯びていた。

 11年ぶりに日本人対決となった結びの一番。立ち合いで押し込むも、もろ差しを許して上体が起きる。今場所初めて不利な体勢に。窮地だった。