勝ち続ければ、相手も策を弄(ろう)してくる。だが、それに動じない強さが、今の関脇高安(27=田子ノ浦)にはあった。

 西前頭2枚目の貴ノ岩(27=貴乃花)が立ち合い、変化してきた。向かって右に動かれた高安。だが「頭には入っていました。動くならあっちの方だと。全然大丈夫でした」。慌てず、瞬時に踏みとどまると、反転して向かってきた貴ノ岩をはたき込んだ。わずか1秒8の攻防では、高安の強さだけが際立った。

 これで、初日からの連勝は10に伸びた。2桁勝利で、夏場所の大関とりへ足固めができた。だが、その前に優勝争いが残っている。兄弟子の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)との並走は依然として続く。「体力がある分、心に余裕ができる。負けないぞと言う気持ちがあれば、落ち着いて取れますからね」。そう言い放つ姿には、風格が漂っている。