新十両で東12枚目の朝乃山(23=高砂)が、同6枚目の山口(27=宮城野)を「今場所12日間で今日が一番のいい相撲」と言う会心の攻めで押し出して勝利。7勝5敗とし、勝ち越しに王手をかけた。

 立ち合い、迷いのない鋭い踏み込みから、左をのぞかせ猛進。何とか右に回り込む相手に、なおも圧力をかけ正面に押し出した。同じ学生相撲出身の4学年先輩だが、ビッグタイトルには無縁だった朝乃山にとって、アマ時代の実績から山口は目標の力士。「1年で高校横綱(鳥取城北高時代)になったり、高校時代から(有名で)知っている先輩。思い切り行けたから、今日みたいに相手を押し勝てるような相撲が取れた」と無心で取った一番を振り返った。

 勝ち越しにはあと1勝が必要だが、ある意味でこの7勝目は、勝ち越し以上に価値のある白星となった。下に2枚しか残さない番付から、6勝9敗では幕下に陥落する。7勝目は、十両残留を確定する白星となった。「それは意識しました。せっかく自分が上がったのに、1場所でまた…というわけには、いきませんからね」と朝乃山。部屋の関取輩出が140年目の今年初場所で途切れたが、それを1場所で復活させたのが新十両昇進を果たした朝乃山。「自分たちが新しい部屋の歴史をつくる」と話していただけに、再びブランクを作るわけにはいかなかった。こうなれば残る3日間は、勝ち越しはもちろん、白星を重ね来場所は新入幕を狙える位置まで番付を上げたいところ。「勝ち越さないと満足しないので、あと3つ勝ちたいです」と、近大時代を過ごした大阪の地で、有終の美を飾るつもりだ。