大相撲の春巡業は15日、群馬県高崎市で行われ、熊本県出身の幕内佐田の海(29=境川)が、1年がたった熊本地震を振り返った。

 地震があった1年前の4月14日の夜も、実は巡業の乗り込みで高崎市内にいた。「1年前を思い出しました。夜に、電話がたくさんかかってきて…」。今回も震災の日を、偶然にも高崎市内で迎えた。だからこそ、思いが新たになった。

 震災から1年。テレビの特集で被災地を目にした。復興が著しい熊本市内と違って、益城町の現状に目がとまった。「まだがれきの処理も、全然進んでいなかった。復興はまだまだだとあらためて思いました」。

 熊本城の一口城主にもなっている自身だが、昨年6月から実家には帰っていない。それは「成績が良くないから」。震災以降の6場所で勝ち越しは2度だけで、いずれも8勝止まりだった。「いい成績を残せないと、恥ずかしくて帰れない。『まだ帰ってこないのか』と心配してくれる方もいるのですが…」。胸を張って帰り、地元を元気づけたい思いに駆られている。

 6月11日には麻里菜さんと結婚披露宴を挙げる。「早く帰られるように。そのときに(熊本城修復の支援を募る)復興城主にも入りたいと思っています」。地元のためにも-。あらためて、思いを強めた。