大相撲の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が「北斗の拳」テイストで漫画になることが6日、分かった。「稀勢の里物語(仮)」として、北斗の拳の三つぞろいの化粧まわしを贈ったコアミックス(本社・東京)が夏場所後にもリリースする漫画アプリ「マンガほっと」と雑誌「月刊コミックゼノン」に掲載される。左上腕部付近に負傷を抱える横綱はこの日、九重部屋に出稽古して関取衆と稽古を再開。午後は都内で横綱昇進披露宴を行い、約1500人から祝福された。

 早熟でいて晩成-。艱難(かんなん)辛苦を乗り越えて横綱に上り詰めた稀勢の里の生きざまが「稀勢の里物語(仮)」として漫画になることが分かった。関係者によると、実在の力士が漫画誌で連載されるのは03年の朝青龍以来だという。

 物語は北斗の拳の三つぞろい化粧まわしを贈呈したコアミックスが編集。春場所逆転優勝の場面をプロローグとしてネット上で“チラ見せ”。続いて同社が夏場所後にも立ち上げる漫画アプリ「マンガほっと」で幼少期から初優勝の前編と、横綱昇進から逆転優勝まで描いた後編を配信する。「月刊コミックゼノン」でも5月25日発売号から掲載。前後編で計100ページほどになるという。

 著者の山田俊明氏を北斗の拳を描く原哲夫氏のスタッフがサポートし、原氏も監修。まさに北斗の拳のテイストが入った作画になる。担当者は「春場所で負ったけがの場面を横綱の知られざる心情を中心に描きます。横綱は『美談にはしないでほしい』と話されていました」と明かした。

 その人生が少年らの手本となる稀勢の里は、夏場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けてせわしなく動いた。午後から横綱昇進披露宴を控え、部屋は稽古休みにもかかわらず、九重部屋へ出稽古。幕内千代大龍、十両千代皇と8番ずつ、春場所以降初めて関取衆と相撲を取った。結果は14勝2敗で「基本運動をやっていたせいか、違和感なく取れた。内容が非常に良かった」と笑顔。出場についても「今日の稽古の状況、内容なら問題ない。これから(幕内)上位とやっていく」と前向きに話した。

 披露宴には八角理事長(元横綱北勝海)やほかの3横綱ら約1500人が集まった。急逝した先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)に思いをはせ「あまりにも出世が遅くてこのような姿を見せられなかった。感謝の気持ちを忘れずに精進していきたい」と誓った。強い生きざま。手本となるのは少年らだけではない。

 ◆漫画で描かれた主な力士 以前は横綱の漫画物語が多く、栃錦や初代若乃花、朝潮や大鵬は何度も漫画で描かれている。双葉山は地元大分・宇佐市で漫画化され、千代の富士も「千代の富士物語 北の大将」として漫画になった。また、最近では03年に週刊漫画サンデー(実業之日本社)で「蒼き狼-実録! 朝青龍物語」が描かれた。