大相撲の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が“覚悟”を語った。7日、前日の九重部屋に続いて今度は埼玉県草加市の追手風部屋に出稽古。新鋭の幕内大栄翔と15番続けて相撲を取った。恐れずひるまずに14勝1敗。「昨日より今日の方がいい」と手応えを口にした。

 けがを抱える左胸から上腕部には分厚いテーピングが施された。生命線の左からのおっつけは見られず、右からの攻めが中心。表情がゆがみ、左胸に手をやる場面も何度かあった。悪化するかもしれない恐怖心はないのか…。すると、こう答えた。「なんで(悪化すると)決めつけちゃうの? そういう気持ちだったら稽古はしない。自信を持ってやる」。

 稽古を見守った解説者の舞の海秀平氏(元小結)は「横綱だから(精神力で)もっている。けがを何とか乗り越えようという必死さがひしひしと伝わってくる。あの責任感はすごい。ただ、時折つらそうな表情や、厳しい表情を見ると、かなり苦しんでいるんだろうなと思います」と横綱の覚悟を見て取った。

 鍛えてきた下半身の手応えは十分にあった。腰を低く下ろし、下から相撲を取る感覚。舞の海氏は「以前より体勢が低くなった。相撲を取りながら下半身を強化しているように見えた」という。今日8日と9日の二所ノ関一門の連合稽古に向けて「また明日も良くなると思います」と稀勢の里。夏場所(14日初日、東京・両国国技館)は、これまでの左の攻めからの転換。そこに挑んでいる。【今村健人】