北海道芽室町出身で昨年のアマチュア横綱矢後(22=尾車)が幕下格15枚目付け出しで白星デビューを飾った。幕下16枚目栃丸(24=春日野)を破り、プロの世界に滑り出した。

 立ち合いから激しい突っ張り合いとなり、なかなか流れがつかめない。一瞬、背後を取られかけた。しかし、冷静に対応し、最後は逆に相手を送り出した。

 「めちゃくちゃ緊張しました。アマチュアとはちょっと違います。お客さんの数だったり、場内の雰囲気とかも…」。土俵下では聞こえた声援も土俵に上がると聞こえない。「当たって前に出ることを考えていましたけど…内容は良くないです。途中でスタミナが切れちゃって。体がカチカチになっていて、勝てて良かった」とヒヤヒヤの取り口を振り返った。

 前日の初日、昨年の学生横綱で自分と同じ幕下15枚目格付け出しのトゥルボルド改め水戸龍(23=錦戸)が黒星デビュー。「それは考えてませんでした」と本人は言うが、師匠の尾車親方(元大関琴風)は「トゥルボルドが負けたでしょ? それもあったはずだよ」と緊張した理由を分析した。

 全勝すれば、史上最速のデビュー1場所で十両昇進という可能性がある。本人は「まずは勝ち越しです」と浮かれた様子はない。87年、同じ芽室町出身の大乃国(現芝田山)が第62代横綱に上り詰めた。「稀勢の里関のようなどっしりとした相撲を取れることが目標」と、横綱を目指す矢後の相撲道が始まった。