日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)は29日、東京・両国国技館で定例の委員会を開いた。

 席上、委員からは、大相撲夏場所で1年ぶりとなる通算38度目の優勝を全勝で飾った横綱白鵬(32=宮城野)に対し、健闘をたたえる声が上がった。委員会後の記者会見で報道対応した北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「峠を越えたと言われ始めていたが見事、乗り越えた。強い意思を持ってケガを治す自己管理、やり遂げていく姿はさすが横綱、とあらためて良い力士だと感じた」と評価した。

 また初日から10連勝し優勝争いに加わった横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)についても、同委員長は「痛いところがあっても一番一番、軽量で投げ飛ばされることがあっても頑張っている。横綱としての責務を今場所も果たしたと思います」と好評した。

 一方、東京での横綱初お披露目となりながら、春場所で痛めた左肩上腕付近のケガが治りきらず11日目から休場した稀勢の里(30=田子ノ浦)については「徹底して治してもらいたい。本人と親方が十分に行ける、と判断すれば(名古屋場所も)出てほしい」と話す一方で「場合によっては名古屋場所を休場してでも、きっちり治してもらった方がいい」と中途半端な状態では出ない方がいいという意見が、複数の委員から出たことを明かした。「不安を持ちながら少しぐらい負けても仕方ない、というのでなく、十分、自信を持って上がってほしい。横綱として土俵に上がる以上、万全の体を作って上がってほしい」と望んだ。夏場所の途中休場には「彼の性格からして、出てきて相撲を取りたいんです。でも無理だと、あそこ(10日目の取組後)で判断したのでしょう。それはそれで正しいと思います」と理解を示した。

 5日目から休場した横綱鶴竜(31=井筒)については「ケガの影響か分からないが、土俵上の気迫、執念がちょっと感じられず残念」と、一層の奮起を促した。

 また大関昇進が確実な関脇高安(27=田子ノ浦)については「ひじょうに真面目で好感が持てる」と評した上で「大関の地位を万全に守るため、さらに上を目指すにはもう1つ、本当の意味での技能を身につけてほしい」と要望した。