一昨年のアマ横綱が、所要3場所での新十両昇進に王手をかけた。東幕下14枚目の水戸龍(23=錦戸)が、全勝同士の対戦で、同20枚目の栃丸(25=春日野)と対戦。会心の押し相撲で6戦全勝とした。

 幕下15枚目以内で7戦全勝なら、十両昇進への優先権を得られる。13日目の取組が有力な7番相撲の相手は、2人だけ残された6戦全勝同士の鏡桜(29=鏡山、西幕下49枚目)戦。幕内経験のある同じモンゴル出身の中堅相手の一番に、念願の関取の座をかける。

 初土俵から通算20番目の相撲で、おそらく最短の時間で勝負を決めた。「立ち合いで、つかまえなきゃと思って」(水戸龍)右を差すと一気の出足で猛進。右をハズに当てたまま、一気に押し出した。

 「右が入ったから出られました」と水戸龍。今年夏場所の幕下15枚目格付け出しデビューから、緊張で本来の相撲を取りきれないでいた。今場所も、白星を積み重ねるごとに遠いところにある関取の座が、近づき「だんだん緊張してきました。意識してきています」と正直な胸の内を明かした。ただ、以前なら「負けて緊張していた」のが、今は「勝って緊張する。ただ、緊張はしても前みたいに頭が真っ白になることはない」と場慣れしてきたことは確かだ。

 勝てば14枚目から一気のごぼう抜きで十両へ、負けても幕下1桁台には上がるが、十両昇進にはやはり全勝が求められそう。ここは一気に決めたいところと心得ているのか「ここまで来たら最後、今まで頑張ってきたことを出すしかない」と力を込めた。