大相撲九州場所(12日初日、福岡国際センター)の新弟子検査が1日、福岡市内の病院で行われ、元横綱朝青龍のおいで千葉・日体大柏高相撲部のスガラグチャー・ビャンバスレン(18=立浪)ら10人全員が体格基準をクリアした。内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。

 日本語を学んで2年半のビャンバスレンが、叔父の“訓示”を明かした。「『親方の口(言うこと)を聞きなさい』と言われています」。あの元大横綱が? 耳を疑うせりふだが、関係者を通して「俺のように騒がせるなよ!」という伝言もあり、報道陣が爆笑する中でニコニコ笑った。

 モンゴルからレスリング留学した直後の5月に夏場所を観戦。日馬富士の取り口にしびれ、叔父に頼んで相撲に転向した。「レスリングをしに行ったんだろう!」と叱られたが、一夜明けて「いいよ」とメールをもらった。「すごく怖かったけど、許してくれてうれしかった」という。

 叔父のすごさは知っている。だが、8月のインターハイで準優勝した実力者は「叔父は強い横綱。僕もそこまでいかないとダメ。一番強い力士になりたい」。しこ名は未定だが「龍」の字がお気に入り。奔放さで愛された男のDNAを受け継ぐ少年が、第1歩を踏み出した。【加藤裕一】

 ◆スガラグチャー・ビャンバスレン 1999年5月22日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。今夏のインターハイ個人2位、国体少年の部個人3位。対戦したい力士は遠藤。日本食では魚系が苦手で好物はカツ丼。愛称「ビャンバ」。家族は元朝青龍の長兄にあたる父スガラグチャーさん(47)とこの日46歳になった母ナルマンダフさん、兄、弟。185センチ、107キロ。突き、押しと食い下がる取り口が得意。