日本相撲協会の危機管理委員会は17日夕方、横綱日馬富士の平幕の貴ノ岩への暴行問題について、貴ノ岩の診断書を作成した医師に診断根拠などを詳細に確認した結果、髄液漏れとともに右中頭蓋底骨折も「疑い」であると発表した。

 また全治2週間の診断は、暴行が発生した10月26日から11月8日までを意味しており、貴ノ岩は同9日時点で状態は安定し、相撲をとることを含め仕事に支障がないので退院としたとも発表。貴ノ岩は同12日の九州場所初日から休場しているが、危機管理委員会は「貴ノ岩の病状に現状は問題がないという認識である。当病院としても、重傷であるように報道されていることに驚いている」と、貴ノ岩が初日の段階で、相撲を取れる状況だったと指摘した。

 危機管理委員会の書面によると、右中頭蓋底骨折については、患部をCTスキャンしたところ、骨折線とも考えられる線が確認された。ただ、もともと存在する縫合線である可能性が高く、過去の衝撃等が原因で生じた骨折線の可能性もあり、日馬富士の暴行との因果関係も分からないものの、念のため右中頭蓋底骨折の疑いとしたという。

 また髄液漏れについては、右の空洞部分の一部に水がたまっている所見があり、単に右外耳炎による炎症が原因のものとも考えられたが、右中頭蓋底骨折による髄液漏れの可能性も全くないとは言い切れないため、髄液漏れの疑いとした。ただ、実際に髄液が漏れたという事実はないという。

 その上で、受傷から日数が経過したことを考えれば、髄液漏れが今後生じる可能性、つまり右中頭蓋底骨折が生じていた可能性は「極めてまれである」とした。