稀勢の里が逸ノ城に寄り切られ、今場所4個目の金星を許した。立ち合いから本来の力強さが感じられず、圧力負けするようにずるずる力なく後退。そのまま土俵を割った。横綱らしからぬ惨敗に支度部屋でも元気なし。「立ち合いで受けてしまった?」との質問に「あ~、そうですね…」と消え入るような声で答えただけで、後は無言だった。

 この日の朝稽古後は上機嫌だった。大野城市にある宿舎で「まあここからです。初日と思ってやるだけ。本当に今日からという気持ちしかない」と笑顔を絶やさなかったが…。

 横綱が1場所で金星を4個許したのは、先場所の日馬富士に続く17度目の不名誉。朝のご機嫌ぶりがウソのように、取材の輪が解けた後は、何か考え込むようにうつむいたまま座り込んでいた。