日本相撲協会の危機管理委員会は19日、平幕貴ノ岩(27)への暴行問題を起こした横綱日馬富士(33)に対し、東京都墨田区の両国国技館で初めて事情聴取を実施し、鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)は日馬富士が暴力を振るった事実を認めたことを明らかにした。

 詳細な内容は説明を避け、ビール瓶の使用については不明確な部分があり、調査を進める方針を示した。

 日馬富士は17日に鳥取県警の聴取を受け、捜査関係者によると、素手で殴ったことは認めたが、ビール瓶での殴打を否定。「態度に腹が立った」という趣旨の説明をしている。暴行は秋巡業中の10月下旬に鳥取市内で開かれた酒席で起きた。

 関係者によると、横綱白鵬に生活態度を注意されている最中に貴ノ岩が知人から連絡が来たとして、スマートフォンを操作しようとしたことが暴行の引き金となったことが分かった。県警は、九州場所の後に白鵬を聴取するとみられる。

 一方、日本相撲協会の危機管理委員会による貴乃花、伊勢ケ浜両親方の事情聴取も九州場所後に行われるとみられることが20日、協会関係者への取材で判明。協会関係者は暴行問題を年内に決着させる意向を示した。

 聞き取りは危機管理委の高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)と鏡山部長、弁護士3人の計5人で約2時間実施。同委員長は、聞き取りの心証について「矛盾なく話していた」としたが、発言内容は説明しなかった。

 相撲協会は当初、危機管理委の本格的な調査を九州場所後としていたが当事者の聴取に着手。高野委員長は「最終的になるべく早く報告する」と早期の真相解明に意欲を示した。

 協会の八角理事長(元横綱北勝海)は書面でのコメントで、休場中の力士ら可能な範囲で聴取を進めていくとした。九州場所に出ている力士への聴取は場所後の27日以降に実施することを明らかにし、最終結果までは長引く可能性を否定しなかった。八角理事長はコメントで、社会問題に発展した不祥事の発生について「痛恨の極み」と表現。ファンや関係者に向け「深くおわび申し上げます」と謝罪した。