大相撲の横綱日馬富士(33)が平幕貴ノ岩(27)に暴行し負傷させた問題で、鳥取県警が年内にも傷害容疑で日馬富士関を書類送検する方針を固めたことが21日、捜査関係者への取材で分かった。県警は、日馬富士関が暴行を認め、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことなどから、逮捕はせずに捜査を進める判断をしたもようだ。

 捜査関係者によると、日馬富士が17日の事情聴取で「平手や拳、カラオケのリモコンで殴った」と説明していることも判明した。県警は既に、現場となった鳥取市内にあるラウンジの個室の現場検証を実施。これまでの日馬富士と貴ノ岩、同席者らの聴取内容と、それぞれが座っていた場所などの検証結果を合わせて分析し、詰めの捜査を進める。

 県警は近く、同席していた横綱鶴竜らからも聴取する方針。横綱白鵬は九州場所後に聴取するとみられる。

 貴ノ岩は県警の聴取で「目をつぶっていた」と話し、殴打された際の様子は全ては分からないという。頭部の傷は、角のあるもので殴打されてできたとみられ、県警は暴行時に使われたものを慎重に確認している。

 日馬富士は県警の聴取で、ビール瓶での殴打を否定しているが、この問題を巡っては当事者の証言が食い違い、一部の関係者は「ビール瓶で殴った」としている。ビール以外のアルコール類の瓶で殴打したとの同席者による新証言もある。

 捜査関係者や訪れたことがある客によると、店内にはカウンター席と個室がある。日馬富士らは鳥取市内のちゃんこ料理店で会食後、2次会で訪れ、個室を利用していたという。

 その場には、白鵬と鶴竜、関脇照ノ富士のモンゴル出身力士のほか、日本人力士や地元関係者らが同席していた。

 関係者によると、白鵬から生活態度を注意されていた貴ノ岩が、知り合いから連絡が来たとしてスマートフォンを操作しようとし、日馬富士関は、その態度に怒り、殴打したとされる。