西前頭筆頭の貴景勝(21=貴乃花)が、東前頭筆頭の玉鷲(33=片男波)を破って勝ち越した。互いに得意とする、押し相撲対決を制した。

 立ち合いで左に動いて意表を突いた。「覚えていない」と話すほど、がむしゃらに突いたり押したりした。玉鷲の強烈な突き押しを顔面にもらっても、ひるむことなく攻め続けて押し出した。10日目の松鳳山戦で切った上唇は大きく腫れていて、少ししゃべりにくそうに「良かったです」と一言で喜びを表現した。

 同じ番付だった名古屋場所では、5勝10敗と上位陣の壁にはね返された。しかし今場所は、日馬富士、稀勢の里を破る2金星などで、上位陣の壁を突破した。「名古屋の時は横綱、大関と当たるだけでうれしかった。今もうれしいけど、一生懸命やってきてよかったです」と素直に喜んだ。