大相撲初場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が5日、両国国技館で行われ、横綱白鵬(32=宮城野)が“禁じ手”を使ってしまった。昨年12月の臨時横審後に、苦言を呈されていた張り手を平幕正代との三番稽古(7番全勝)で見せた。八角理事長(元横綱北勝海)は厳しい表情を浮かべ、解説者の北の富士勝昭氏(元横綱)からも指摘されたが、白鵬は充実感を漂わせ、周囲との温度差が浮き彫りとなった。

 正代との6番目の取組。エンジンがかかった白鵬は立ち合いで右手が伸びてしまった。そして、正代の左ほお付近を軽くはたいた。本気の張り手ではない。ただ、八角理事長やその他理事、横審メンバーの表情はみるみる曇り、重苦しい雰囲気が漂った。

 横審の北村正任委員長は昨年12月20日の臨時会合後、立ち合いで相手に肘をぶつけるようなかち上げや激しい張り手を多用する白鵬の取り口について「横綱相撲とは到底言えない。美しくない」などの投書を引用し、異例の苦言を呈した。この日、稽古を見守った北の富士氏は、報道陣から張り手について聞かれると「不届き者だねぇ~。あれだけ注意されたのにね。けんか売ってるんじゃない、横審に」とチクリと刺した。

 周囲から厳しい目で見られたが、白鵬本人は満足していた。年末年始を沖縄・石垣島で過ごし、この日が18年の稽古始めとなった。「年明けでいきなり関取とやって、みなさんの前で良い汗かけました。体の張り、重さはこれからだけどスピードはあった」と自画自賛。初場所に向けては「今日より明日という感じで積み重ねていきたい」と、2場所連続41度目の優勝へ意気込んだ。【佐々木隆史】