白鵬(32=宮城野)、稀勢の里(31=田子ノ浦)の2横綱が、相次いで敗れる波乱が起きた。2場所連続優勝を狙う白鵬は、立ち合いから北勝富士に一方的に押し出された。最後に力なく土俵を割った白鵬は「言葉がないね。完敗」と認めた。支度部屋に戻ると早速髪を洗って験直しをするなど、淡々と話す言葉とは裏腹に悔しさをのぞかせた。

 立ち合いで右差しを狙ったが封じられた。先場所までは多く見られた、張り手やかち上げは、昨年12月に横綱審議委員会(横審)に苦言を呈され封印。この日の北勝富士のように一直線にぶつかってくる相手には、勢いを抑えることができる手段。それでも立ち合いについては「迷いはない」と、張り手やかち上げの選択肢はなかった。「流れがなかった。北勝富士の方がよかった」と、冷静に話した。

 悔しさを前面に出したのは稀勢の里だった。幕内最重量215キロの逸ノ城に、じりじりと土俵際へ追い詰められ、最後は寄り切りで敗れた。早くも2敗目。支度部屋での報道陣の質問には、立ち合いの踏み込みについて問われて「うーん」と一言発したのみ。着替えのために1人になった際に舌打ちし、悔しさを押し殺すので精いっぱいだった。ともに平幕との取組2日目で金星配給と早すぎるお年玉となった。【高田文太】