関脇経験者で東幕下5枚目の豊ノ島(34=時津風)が、執念の土俵復帰を果たした。

 2日目の1番相撲で西幕下4枚目の明瀬山(32=木瀬)と対戦し、寄り切りで敗れた際、左ふくらはぎを痛めた。2、3番相撲を休場し(2番相撲は不戦敗)、治療と懸命なリハビリでこの日、本場所に復帰。東幕下2枚目で、ここまで3連敗の朝弁慶(28=高砂)と対戦した。

 ただ、足の状態は万全の状態にはほど遠い。立ち合いは「(そうすれば)あとは流れで取れるかなと思って」(豊ノ島)左足で踏み込み対処しようとしたが、190キロで元十両力士の突き、押しに、つい引いてしまいズルズル後退。なすすべなく朝弁慶に押し出され、最後は土俵下に落ちるのをこらえるように、踏ん張るのが精いっぱいだった。

 ケガをした日を含め4日間は治療に専念。前日19日の夕方に「足の感覚を確かめるために」(豊ノ島)、ようやく稽古場におりた。「1人で動かす分には四股も踏めたし、今日も土俵に上がるまでは出来なかった、そんきょも土俵に上がったら出来た。アドレナリンが出て痛みも軽減できたんでしょうね」と前向きな姿勢で臨んだが、やはりまともに相撲を取るのは無理だった。

 「ケガしているから(余計に)下がったら良くないのに、どうしてもこわごわと取っている。体重がかかると痛い。ズキッと力が抜けるような痛み」と豊ノ島。これで3敗1休となり、4場所ぶりの負け越しが決定。番付の降下を少しでも抑えるためには、残り3番で1つでも白星を挙げたいところだが「あんな相撲を取っていたらケガが悪化する。次(の出場を)どうするか、師匠(時津風親方=元前頭時津海)と相談します」と顔をしかめた。このまま土俵復帰できずに、今場所を終えることになるかもしれない。