再出場した西前頭10枚目安美錦(39=伊勢ケ浜)が、東前頭7枚目千代翔馬(26=九重)に一方的に寄り切られた。

 5日目の平幕の千代の国戦で右膝を負傷し、6日目に「右脛骨(けいこつ)骨挫傷、右関節血症」との診断書を提出して休場していた。

 立ち合いで、右に動いて右上手を取った瞬間に「踏ん張れなかった」と棒立ちになり、あっけなく土俵を割った。支度部屋では「思い切りいこうと思ったけど」と弱音は吐かなかったが「(痛みを)我慢して取ったよ」とつぶやいた。

 西前頭3枚目だった16年夏場所で、左アキレスけん断裂の大けがを負い、一時は十両まで番付を落とした。つらいリハビリに耐え、昨年九州場所でようやく幕内に返り咲いた。だからこそ「せっかく幕内の土俵に上がっているんだから。休んだら番付が下がるから出ないと駄目」と再出場。「毎日が最後になってもいいと思いながら土俵に出てきている」と強い覚悟を見せた。