西前頭3枚目栃ノ心(30=春日野)が初優勝場所で有終の美を飾った。西前頭5枚目遠藤を押し出しで下し、14勝1敗とした。歓喜の前日から一夜明けた1番を終え、支度部屋で恒例の“長風呂”から上がると開口一番「は~終わりました」と苦笑い。

 「勝って良かった。優勝して変な相撲はとれないから、勝っても負けてもいい相撲を、と思っていた。負けたら(いろいろ)言われるでしょ?」。

 優勝が決まった前日夜は、部屋で師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)らと喜びを分かち合った後、故郷ジョージアの実家にテレビ電話をかけた。父ザザさん(52)母ヌヌさん(51)だけでなく、長女アナスタシアちゃんを連れた妻ニノさん(30)ほか大勢の人が集まり大騒ぎ。ザザさんは緊張のあまり朝からワインを飲みっぱなしで、ほとんど会話にならない状態だったが、全員泣いて喜んでいたという。

 この日、土俵上のインタビューでは「日本人のみなさん、グルジアのみなさん、本当に胸がいっぱいです。応援ありがとうございました」とあらためて感謝の言葉を口にした。「これからも稽古を頑張って、親方の言うことを聞いて、来場所も頑張ります」。7度目の三役返り咲きが確実な春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)から、さらなる飛躍を期することを誓った。