大相撲の貴乃花親方(45=元横綱)が、親方衆の階級で最も低い「年寄」へ2階級降格することが決まった。日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で理事会を開き、春場所中の勤務態度や弟子の十両貴公俊の暴力問題の監督責任を巡る貴乃花親方の処分を決めた。1月の理事解任から約3カ月で5階級降格。元横綱の年寄降格は、85年11月に金銭の賃借問題を起こした輪島(当時花籠親方)以来、33年ぶりの不名誉な処分となった。貴公俊は4月の春巡業と5月の夏場所の出場停止が決まった。

 重い処分が決まった。貴乃花親方が、最下位の「年寄」に降格した。理事会中、貴公俊とともに別室で待機し、別々に途中入室して処分を聞くと「分かりました」と、素直に受け入れたという。

 2月の理事候補選挙で落選したため、28日に役員待遇委員から1階級下の委員へ。1月4日の理事解任からは3カ月足らずで5階級の降格になる。月給も理事当時の144万8000円から80万8000円へ64万円も減額となった。

 元理事の年寄降格は過去に例がなく、委員待遇から親方としてスタートを切る元横綱としては輪島以来、33年ぶりの年寄降格。年明けまで巡業部長として協会NO・3に相当していたが、100人中83番目へ急降下した。

 今回の処分は、春場所中日に付け人を数発殴った貴公俊への監督責任と春場所中の勤務態度、前日の年寄総会での親方衆の意見や貴乃花親方の説明を加味して決まった。八角理事長(元横綱北勝海)は「初日に欠勤届を出さずに無断で欠勤したのに続き、何度も役員室に出勤するように求めたにもかかわらず、要請を無視して中日まで正当な理由もなく欠勤を続けた。職務専念義務違反」と指摘。処分は協会執行部が原案を準備して理事会に臨み、解雇に相当する契約解除など反対意見は出なかった。

 貴乃花親方は処分を受け「新たな気持ちで大相撲発展のためにも精進をし、真摯(しんし)に処分を受け止め、鍛錬に励むことを貴公俊と2人で話しております。今後は自分に与えられた職責を果たしながら、弟子の育成と大相撲の発展のためにゼロからスタートして参ります」とコメントを発表した。

 再び問題行動を起こせば契約解除や部屋取りつぶしなどの厳罰は避けられない。八角理事長は「まじめに仕事をしてもらい、組織人として改めてもらえれば」と今後に期待した。一連の騒動は区切りを迎えた。