日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は6日、女性が土俵に上がることができないことが、女性差別とする声が大きくなっていることについて「差別のかけらもない」と否定した。

 女性差別とする声については、現在行われている春巡業中の4日に、京都・舞鶴市で多々見良三市長が土俵上であいさつしていた際に倒れ、医療関係者の女性が救命処置で土俵に上がった時に「女性は土俵から下りてください」というアナウンスが複数回流れたことに端を発するもの。このアナウンスについては、芝田山部長は「こういった緊急事態が、またいつ起こるかもしれないので、場内アナウンスの指導もしていかないといけない。緊急時のマニュアルも作らないといけないし、かといって緊急時もそのマニュアル通りにやればいいというものでもない。緊急のことで経験を積めるものでもないので、臨機応変に対応できるようにする必要がある」と、力士や行司、呼び出しらだけではなく、本場所中は親方衆が警備にあたっているため、相撲協会全体の問題としてとらえていた。

 一方で、この舞鶴市での巡業中の事態に関連して、土俵に女性が上がることができないことを、女性差別とする声が大きくなっていることには「いつの間にか話がすり替わっている」と話した。「スー女と呼ばれるファンも増えて、女性には感謝しかない。今回のような緊急事態と、女性を土俵に上げる、上げないの話とは別」と続けた。

 一部では、女性が土俵を下りた後に大量の塩がまかれたと報じられた。これについても強く否定し「けして大量ではなく一般的な量。何よりも、女性が土俵に上がったことに対してではなく、昔から土俵でケガした人が出た時などは『繰り返さないように』という安全祈願の意味で塩はまかれていたし、あいさつと取組といった、まったく異なるものの間に塩をまくのは『ここで一区切り』の意味でもあって、特別なことでも何でもない」と、普段、相撲を取材していない海外メディアやテレビ局の情報番組などの誤った報道に、困惑の色を隠せなかった。