大相撲の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が4日、東京・墨田区の春日野部屋に出稽古して、関脇栃ノ心との三番稽古で2勝9敗と圧倒されて、夏場所(13日初日、東京・両国国技館)への出場に不安を残した。

 2勝こそしたものの、土俵際に追い込まれてからもがくように体を動かして体が入れ替わり逆転した一番と、立ち合いでうまく四つに組んで寄り切りで下すという、どちらも手応えは薄い一番。残りの9敗は、力自慢の栃ノ心にまわしを取られて一方的に寄り切られた。歯がゆい思いからか「あークソ」と感情をむき出しにする場面もあった。

 稽古後、稀勢の里は「今日は押すことを考えてやったけど、なかなかはまってくれなかった。まだまだやることはたくさんある」と反省しきり。「昔上がってきた時のようにと思って今日はやったけどなかなかね」と、勢いに乗っていた横綱、大関昇進時のような強い踏み込みを意識してやったというが程遠い結果となった。

 稽古を見学していたNHK大相撲解説者の舞の海秀平氏は「厳しいですね、今日の稽古内容だと。まわしを取られたら相撲にならないですから。苦しいんでしょうね。良くなっていないんでしょうね。どうしていいか分からない状況だと思う」と辛口評価。夏場所出場については「やめた方がいいと思いますよ」ときっぱりと言うほどだった。【佐々木隆史】