西前頭2枚目の阿炎(あび、24=錣山)が、初顔合わせの横綱白鵬(宮城野)を破り、初金星を挙げた。もろ手突きの立ち合いから終始に前に出て、白鵬にまわしを取らせず押し出し。新入幕から3場所目、前日5日目の鶴竜に続く2度目の横綱戦と結びの一番で、全勝の相手に完勝する番狂わせを演じた。

 支度部屋に戻った阿炎は興奮冷めやらぬ様子で「うれしくてしょうがない。最高です。相撲人生で1番。大金星です!」と、まくし立てた。13年夏場所で初土俵を踏んだ時には、すでに横綱だった白鵬と初めて本場所の土俵で向き合った時には「心臓が口から出てきそうだった」というほど、緊張したという。それでも「小細工して勝てる相手じゃない」と、すべてを出し切って勝った。横綱が敗れると、観客が土俵に向かって座布団を投げるが「テレビで見ていたけど、それを体験というか、自分ができるとは思わなかった」と、しみじみと話した。歩いて両国国技館を出る際には、大勢の観客にもみくちゃにされながら見送られた。