関脇栃ノ心(30=春日野)の快進撃が止まらない。小兵の押し相撲で、前日には大関豪栄道(境川)を破った東前頭3枚目の大栄翔(24=追手風)を右四つ、左上手の万全の体勢でつかまえると、一呼吸置いて、つり寄りでねじ伏せた。

 土俵下から目を光らせる幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)も「立ち合いでスピードがあり、押っつけも強い大栄翔を問題にしなかった。つかまえた時点で(相手は)どうにもならないでしょう」と強さを評価した。大関昇進の目安とされる直近3場所合計33勝にも到達。昇進に関しては常々、話しているように「審判部長(阿武松親方=元関脇益荒雄)に聞いてください」と明言は避けたが「今場所(全力士を通して)一番、安定しているでしょう。ごまかしで勝っている相撲ではない。圧倒的に勝っている。誰が見ても強いと思うし(大関昇進の声も)説得力があるのでは」と話した。

 協会トップの八角理事長(54=元横綱北勝海)も、栃ノ心の力強さについて「つったというより、まわしを引きつけたら(大栄翔が)浮いたという感じだろう。引きつけられたら相手は何もできない」と説明。対戦相手の立場にたって「壁にぶち当たっている感じだろう。脚から力が伝わっている」と解説した。ここまでの相撲を「内容は申し分ない。2ケタ(勝利)というより(栃ノ心の目標は)優勝だろう」と読み取っていた。