関脇栃ノ心(30=春日野)が東前頭4枚目の千代大龍(29=九重)を、万全の相撲で寄り切って無傷の10連勝。優勝争いで単独トップを守るとともに、場所後の大関昇進を濃厚にした。

 この日、56歳の誕生日を迎えた師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)は打ち出し後、報道陣に囲まれると安堵(あんど)の笑みを浮かべた。「調子に乗ってるね。力が出てるみたいだ」と、愛弟子の快進撃を喜んだ。場所に入ったこともあり「出て行けよ、ぐらいは言っても具体的なことは何も言ってないよ」とアドバイスなどはしていない。それでも、これまでの指導方針や助言を思い出すように「両腕(の筋肉)を切っているからね。それは、むちゃな上手の取り方をしていたから。取る位置、取り方、押っつけ、絞り…。1つ1つ道理を教えた結果、今の取り方がある」と話した。横綱千代の富士(故先代九重親方)のビデオを見せ、上手の取り方を教えた裏話も明かした。

 場所後は、昇進準備で忙しくなりそう。それも、うれしい悲鳴だ。ただ、もう1つの目標が、残り5日間にかかる。「さて、こうなれば二匹目の何かがあるかな…」とニンマリ。初場所に続く2度目の優勝で、昇進に花を添えたいところだ。